令和4年11月26~27日、長野市の鬼無里地区(旧鬼無里村)にある「NPO法人まめってぇ鬼無里」へ視察旅行に行ってきました。参加者は大人10名、子ども6名です。
この視察旅行のきっかけは8月のむらがるプロジェクト「泰阜村と環境・エネルギー」の会でした。
他の地域での取り組みを調べていたところ、「まめってぇ鬼無里」というところが、自分たちの地区のエネルギーを自給しようと太陽光発電をやっている!更にホームページを見てみると、里山整備のための薪づくりやチェーンソーの講習、古民家の改修、田んぼのオーナー制度等。
むらがるプロジェクトでこれまでに「こんなことやりたいね~」と話してきたことの数々をすでに実現していました。しかも、同じ長野県内、人口規模は泰阜村と同じか更に少ない規模。…「これは行くしかない!」ということで、長野市鬼無里地区へ視察に行ってきました。
「まめってぇ鬼無里」は、「食とエネルギーが自給できる地域を目指して」をコンセプトに様々な活動しています。この図は、どのような活動がどのようにして回っているかのイメージ図です。
視察で印象的だったエピソードを少し紹介します。
太陽光発電はお金がかかります。「鬼無里で電力の自給自足をするために!」と元々信州ネットで勤めていた事務局のOさんは、上田や佐久と協力して事業展開する案を提案。そうしたところ、地元の人たちからは「鬼無里だけでやらないと意味がない!」という声がでて話は振り出しに…。しかし、それまでの熱意が伝わり、その後地域の方々も積極的に議論に参加するようになりました。
鬼無里に合ったスタイルの太陽光発電をなるべく安く行うため、みんなで知恵を出し合いました。その結果、積雪のため高くしなければならない架台は、地元の人達が単管パイプで作成。自分たちで作るので安く作れて、自分たちで修理ができるものになりました。
地域の仕事創出と地域の資源を地域で回すため、「鬼無里の湯」に薪ボイラーを入れてほしいということを長野市に陳情。しかし、なかなか伝わらず、4年間もかけて実現させました。
「鬼無里の湯」に販売する薪の値段は、最初は、長野市の言い値で15円/kg。採算が取れず、20円/kgに変更しました。それでも11,000円/立米くらい。まだまだ赤字ですが、針葉樹(カラマツ・杉)をうまく消費し、実績や広報としての役割も担っています。
ちなみに、薪ストーブユーザー向けの薪の価格は、針葉樹:20,000円/立米、広葉樹:25,000円/立米、ナラ:28,000円/立米とのこと。継続できるような価格設定になるよう、事務局も一緒になって計算・交渉して行っていることが印象的でした。
長野市鬼無里地区(旧鬼無里村)では、この他にも、鬼無里地区住民自治協議会の皆さんがえごま油を作っていたり、鬼無里観光振興会の皆さんがフットパスマップづくりやボランティアガイドをしていたり等、面白い取り組みが他にもありました。(この2つも「泰阜村でやりたいね~」と話していたことです。)
違う団体の取り組みなのですが、鬼無里の中の活動は、バラバラではなくどこか統一性があり、地域一丸となって同じ方向に向かって取り組んでいることが伝わってきます。鬼無里で過ごして「すごいな~」と感じたことのひとつです。そのことはホームページからも伝わってきます。見せ方・取り組み方が上手だなと思います。
まめってぇ鬼無里HP https://mamettee.org
鬼無里観光振興会 https://kinasa.jp
鬼無里地区住民自治協議会 https://fureaikinasa.jp
「まめってぇ鬼無里」では、何十年も先を見据えて、環境(山・エネルギー・食料等)・地域の持続可能な方法を考え、地域全体で取り組んでいました。その様子を実際に見聞きしていると、「すごいな~」と感心させられることの連続でした。
そして、最も印象的だったのは、「人」!
鬼無里のみなさんは温かい。そして、鬼無里へのあつい思いを持っている。
その一番は、事務局のお2人です。様々な壁にぶつかりながらも地域の皆さんと共にここまで築きあげてきた事務局のお2人。強い信念をもち、その上で楽しみながら活動されてきたことの成果なのでしょう。様々な苦労を乗り越えてこられたお2人の言う「嫌なことはやらない」という言葉は、無理なく楽しみながら継続していくための秘訣なのだと思いました。
泰阜村にも、薪スタンド、あんじゃね自然学校、グリーンレンジャー等、泰阜村でもすでに様々な取り組みがあります。それらの取り組みを見える化し、その内容やそれをされている皆さんの思いを知りたい、そして、一緒になって「あんじゃねぇ泰阜(笑)」をつくっていけると良いなぁ…。そんな思いをもった視察旅行でした。
※今回の視察の内容を詳しくまとめた活動報告書も作成しました。よろしければご覧ください。