以前から、えごま油プロジェクトや推し村民プロジェクト、先輩と話す会などで様々お世話になっている羽太(はぶと)さんより、「あいパークの池で今年もホタルが見れますよ」と連絡をいただきました。
昔はホタルは珍しい生き物ではなく、この泰阜のどこでも見られた夏の風物詩ですが、近年では本当に目を凝らさないと見つけられないくらい希少な存在になってしまいました。
そんなホタルを数年前から育て、数を増やす活動をしている羽太さんに、ホタルに力を入れている経緯やホタルが見られるこの環境が特別であることなど、現地でお聞きしてきました。
Q:この池でホタルを育て始めたきっかけは何ですか?
泰阜村に移住してきて、子どもたちに聞いたところ誰もホタルを見たことが無かった。子どもたちに見せてあげたいと思い、令和元年からホタルの育成に取りかかった。
Q:もともとホタルに興味があったんですか?
ホタルに興味があった訳では無いが、昆虫は好きで、泰阜には昆虫好きにはたまらないレアな昆虫がたくさんいる。あいパークで仕事をしていた関係でこの池を知り、この自然環境があれば、ホタルを増やせるのでは?と思った。
Q:自然や環境保護に興味を持ち始めたきっかけは何ですか?
ホタルが住める(生きていける)環境というのは非常にシビア。
明るくなくキレイな水場を好むホタルは、休耕田が増え、農薬の残留濃度も薄れてきているこの場所では復活の可能性があると感じた(山から引ける湧き水もある)。
ホタルを増やすことができれば、自然環境が良いことの証左になると思っている。また、その環境を維持することが、環境保護につながればうれしい。
Q:ホタルを増やすための具体的なプロセスを教えてください。
最初からホタルを「餌」で増やそうと思っていた。
ホタルの餌はカワニナという巻き貝で、このカワニナもキレイな水場にしか住まない。カワニナが豊富に居る水場では、ホタルも増えるだろうと画策し、計画的且つ段階的にホタルを増やしている。今年は100匹くらい飛んでるかなぁ(20時〜1時間ほどがピーク)
ホタルは幼虫のときにカワニナだけを食べ、成虫になると水だけしかとらないそう。
Q:育成中に特に注意している点や活動において困難はありますか?
ホタルが卵を産みやすい環境づくりを目指している。具体的にはホタルの成虫が卵を植え付ける場所(コケみたいなもの)を増やしながらホタルが自然に増えるような環境整備に努めてきた。
環境づくり(池の手入れ)は特に大きなことはしていないが、池の睡蓮を鹿が食べてしまうので、防獣ネットで囲った。自分のできる範囲で活動しているので無理はない。
大雨が降ると放流したカワニナが流されてしまうので、水路にいくつか堰(セキ)を作り対処した。
Q:地域の人々や訪問者からの反応はどうですか?
ホタルを撮影しに来る愛好家や親子連れなどがちらほら訪れる。この池のホタルの認知度も少しずつ上っているようだ。
群生しているハッチョウトンボのとなりの池でたくさんのホタルが見られるのは全国的に見てもめずらしいのでは?
泰阜村の自慢できるスポットになるといいな。
Q:この活動の今後の展望を教えて下さい
「ホタルが増える特別な環境がこの泰阜にある」ことが価値だと思う。この活動を一緒に楽しんでくれる方や、「ホタルを愛でる会」などが立ち上がり、継続して環境維持に取り組んでいける仕組みや仲間ができるとうれしい。
泰阜村あいパーク
住所:泰阜村3319
ホタル池の場所 → あいパークマレットゴルフ場駐車場近く[MAP]
マレットゴルフ場には駐車場が2段ありますが、ホタルを見に行かれる場合は下段の駐車場に車をお止めください。車のヘッドライトの強い光にホタルがびっくりしちゃうそうです。
・源氏ホタル(6月後半〜1ヶ月くらい) :明るい / 点滅のインターバル長い / 体長15mmくらい
・平家ホタル(6/10〜1ヶ月くらい): いくらか暗い / インターバルが短い /体長8mmくらい
「オスもメスも光るが、メスはあまり飛ばないで、止まって光りながらオスを待ってるようだ」とのこと。(羽太さん談)
横浜生まれ育ち。
脱サラして40半ば〜20年間くらい職業訓練校の講師をやっていた。
インテリアの内装(床貼りなど)1級技能士:指導員免許をとって教えていた。
子供の頃は山や川に入って昆虫採集し、遊んでいた。
持論「人生1/3論」
第1期(25歳まで):人にものを教わって生きてきた
第2期(50歳まで):家族を持って子育て
第3期(75歳まで):第1期で教わったことを人に教えて生きてきた
人生を分割して考えることを本で学び、泰阜に来てそれを実践している。
ハッチョウトンボも今、全盛期でした!
おそらく300〜400匹が常時飛び回っているじゃないでしょうか。
実は羽太さん、泰阜のハッチョウトンボの第一発見者!!
まだハッチョウトンボ池が整備されていない頃に見つけ、あいパーク勤務時代に少しずつハッチョウトンボが住みやすい環境に整備されてきたそうです。
この看板も羽太さんの手作りかな??
白い泡みたいなのが5〜6個ぶら下がっているのがモリアオガエルの巣だそうです。
この巣の真下はホタルの池。
池の中では、イモリたちが餌(モリアオガエルの赤ちゃん)が落ちてくるのを今か今かと待っているんだとか。
ちなみにモリアオガエルはよく居る”アマガエル”の3倍くらいある大きなカエル🐸で、天然記念物に指定している地域もあるめずらしいカエルです。
こんなカエルの巣が、”普通”にありすぎて、教えていただくまで気づきませんでした💧
あいパークの一角は、食物連鎖の縮小図を見ているようで勉強になりますね。