村誌分科会イベント「ふらっと大畑」を開催しました

雨天のため2回の順延を乗り越え、2021年5月3日、むらがるプロジェクト初の野外イベント「ふらっと大畑」が開催されました。

”ふらっと大畑”は、むらがるプロジェクトから派生した「泰阜村誌分科会」のメンバーが企画した、村誌に記された歴史(土地・建物)をめぐるツアーです。

当日は、むらがるメンバーとその家族+地元をよく知る先輩方で総勢13名での地元歩きとなりました。風は冷たいものの、泰阜の急勾配を歩くにはちょうどよい気候となり、GWを満喫するには良い日和でした。

朝8時前に集合し、大畑地区の歴史を見聞きし最後は鳴神山山頂を目指す・・・という”ふらっと”を超えたスケジュール感。最初は笑顔のメンバーも(マスクでわりませんが)、昼前には足腰ガクガクの息も絶え絶え(笑)。泰阜という勾配地の洗礼を受けたツアーでした。

途中、若干1名の滑落者を出すも全員無傷で生還し、大畑という土地、泰阜が育んできた歴史の一部を生身で体感した素晴らしい時間となりました。

当日のスケジュール及びなぞった歴史は、企画メンバーが素晴らしい”しおり”を作ってくれましたので下記にシェア・・・と思いましたが、個人名が載っているので掲載は自粛。興味の有る方は連絡ください。

大畑の歴史が凝縮されています!

景色がごちそう

上記しおりを元に、ガイド役の地元の先輩方に各所フォローいただきながら、生の声を聞く旅です。

村誌からはわからない、口伝の情報(オヤジから聞いた話)や、村誌発刊以降の村の(大畑地区の)地域活性の取り組みなど、先人の知恵と挑戦をお聞きしながらの地域巡りは、予想以上の驚きと感心の連続でした。

村に40年ほど住んでいる僕にも知らない歴史・景色がてんこ盛りで、いろんな可能性を感じずには居られませんでした。

景色がごちそう

とは、泰阜に移住してきた知人の言葉ですが、この土地に住み続けていると当たり前の景色も、タイミングと環境によってはたとえ地元民にとっても絶景に変わります。

たとえばこの景色。

大畑の道沿いから見える「阿南町と泰阜村(田本地区)を結ぶ吊橋」ですが、写真家の撮影スポットになっているそうです。車で通りかかるだけではわからない”メシウマ”な景色が、自宅から徒歩10分ほどにある、ということに改めてショックを受けました。

山あいの地域ではよくある景色ですが、実際に天気の良い日にこの景色を目の当たりにすると、「何も無い」と信じて疑わなかった自分の地元に「途方も無い価値」が眠っていることがよくわかります。

これらの景色を知らずに泰阜に住んでいるのは正直もったいない。そんな思いがよぎりました。

以下写真を中心に当日を振り返ります。

この土地の歴史を知って住むのか、知らずに住むのか。

知らなければ「ただの生活区域」だし、知っていれば「自分の一部」になる。身の回りの”当たり前”に興味を持つことで、世界は広がるんですよね。

歴史も人も「知りたい!」と自分たちから行動しなければ自動的にインプットされることはありませんが、幸いにも泰阜には素晴らしい村誌と、歴史を語れる地元の人が居ます。

そういった歴史に触れる場、そして歴史を知る方の語る場。そんな「場作り」がむらがるプロジェクトの活動の一つになるといいな。地域への理解を深めていこう。

参加者の声:一部抜粋

普段車でメインストリートを行き来するだけなので、石灯籠や観音の存在に気づくことも気にすることもなく過ごしていました。自分の足で歩くことで、花や鳥の声や、急峻な地形をかんじました。
観音様と、昔の街道が印象に残りました。楽しかった!
村を大切に思うおじさまたちのような存在があって今があるのだなと思いました。
知らない事だらけだった!
守らなければならない事。守りたい事。人と土地との素敵な出会い。
蓮池の話も、素晴らしい彫刻も、それを守る建物も。
今だからこそ伝えられる事があって、これが後数年後には、こうかな?多分?の時代が来る事の危機感もあった。こんなにゆっくり歩いたの久しぶりで。でも好きな時間軸だったし、同時に得られた貴重な時間だったなぁーと思いました。
何よりも、みんなでワイワイ言いながら、自然豊かな泰阜村を歩けたことが楽しくてとても良かったです(笑顔)こういう時間がすごく好きなのに、最近できてなかったのだなぁ〜、またやりたい!と実感しました。むらがるプロジェクトのメンバーはもちろん、ご家族や大畑のみなさんまで一緒に歩けて最高でした。
ずーっと泰阜村や大畑を大切に思い、いろいろなことをされてきた70代以上の方々。昔の話はどれも興味深く、泰阜村で生きてきた人たちの姿が見えてくるようでした。
 私たちの世代に今何ができるだろう、まだまだお元気なうちにいろいろ教わっておきたい。そして、できることをやっていきたい、そんなことを思った歩く会でした。
大畑の魅力新発見でした。
当日、大畑諏訪社のくれ木や新井の33観音など初めて見るものがあったり、村がるプロジェクトのメンバーと歩いて、また違う視点から大畑の魅力を新発見したりできました。
休耕田を蓮池にする計画があったという話しを聞いて、今、別の休耕田で蓮の花を育てている人、休耕田に桜の木を植えている人、地域に紫陽花をたくさん植えて年々増やしている人、ボランティアで旧南小周辺の草取りなどをしている人などなど、みんな、それぞれの想いで、地域を大切にしているのだなと改めて感じました。
反省点も含めて、この『ふらっと大畑』で得たことを今後に生かしていきたいです。
参加者のみんなと、泰阜村・大畑の魅力発見の経験を共有できたこと、とても意義があり、うれしく思っています。
泰阜の魅力というか真髄を実体験するすばらしい機会でした。
入念な下準備のおかげで、ただ村誌をめくるだけではわからない得難い経験ができました。ありがとうございます。
「観光のために棚田(休耕田)を蓮池にする計画」など、先人たちの泰阜愛を直接聞くと、いつの時代にも村の魅力に気づいている人たちはいるのだなぁと感激しました。
また、神社などの伝統や口伝で伝えられている昔話などは、守っていく担い手が居ないことの危機感も覚えました。僕らがしっかりアーカイブしなくては、、、と

課題は担い手不足

大変有意義な数時間でしたが、興味深い歴史も語る人・聞く人がいなければ”無かったこと”になってしまいます。

地域の歴史を知らなくとも生活に支障はありませんが、道祖神や碑、神社など、「そこになぜ在るのか」、「どんな思いで祀られてきたのか」を、知る人・関わってきた方から直接伺うことで、土地への興味・愛着が生まれ、精神的な豊かさにつながっていくのでしょう。

歴史は、”伝える人”と”受け取る人”の両方が揃って連綿と受け継がれるものだと思いますが、その担い手が高齢化、地元への興味の希薄化などで枯渇しています。

若者は地元の歴史に興味が無いわけではなくて、単に知らないだけ、知るチャンスが無いだけ・・・だと思うのですが、どうでしょうか?

今回のような「地元を歩く」催しは、地区を変え季節を変え実施していくと、そのたびに発見があるんだろうなと感じました。何より参加者が楽しい!

「泰阜のために!地域のために!!」と鼻息荒く臨まなくとも、この土地を”面白がる”ことは可能だし、その延長線上に地域活性があるのだと思います。

まずは自分が地元でときめいたものをシェアするだけでも、自地域に自信・誇りを持つことにつながります。小さくても行動ベースで活動していきましょう!

諏訪大社の左大臣も、もっと光を浴びたくて語りかけてるようでしたよ^^